2024年08月09日

新型コロナウィルス対策に関する意見交換会より


園長の三宅です。

昨日の夕方に地震があり、余震(本震?)への心構え・備えで頭がいっぱいではありますが、こちらへの対応についてもお知らせをします。
「園長先生、テレビ出てたね♪」と言ってくれる年長女子に元気をもらいました!

さて、7日の午前中に、新型コロナウィルスに関する意見交換会に参加したのですが、その中の講演会より、一部内容を抜粋して皆様にお伝えします。

お盆も含め、それぞれのご家族がこの夏休みを色々な形で満喫されていることでしょうし、そこに水を差すつもりは毛頭ありませんが、お盆以降の8月後半に備えておくことは大事かと思います。長文ですが、最後までお付き合いください。


「2024年夏の新型コロナ感染症急増に対する対応について」

延岡市新型コロナウィルス感染症対策アドバイザー
佐藤圭創 医師


延岡市においては新型コロナウィルス感染者が増え、大変な状況になりつつあることを踏まえて、現在の状況と、我々がどう行動すればよいかを含めて考えていただきたい。


 まずは、今週8月4日の段階でまとめたデータをグラフ化したものを見てもらいたいが、冬にあった第10波をかなり超えている。感染者の人数が最大で230人を超えている。
 今、学校がお休みに入っていたり、お祭りから2週間経って、一度グラフは下がっているが、これからおそらく関東・関西の感染者が増えていくだろう。そして、お盆の時期にその方々が九州に帰省するタイミングでまた再上昇する可能性が高い。まだ定点、実効再生産数が1以下になっていないことから、しばらくは増えるだろう。今は小康状態にあって、一旦落ち着いているが、また上がるだろう。
 もう1つ大事なことは、感染者の問題だけでなく、感染が増加してから約10日から2週間経って、入院患者と重症患者が増える。今から8月の後半くらいまでは要注意期間である。現在は感染の主体が若い人ばかりだが、これから段々高齢者に移っていく。
 現在、宮崎県の定点は25.98で、7月の最後の週では全国2位。東京は9.13くらいなので、一ヶ月前の延岡の状況に近い。この西高東低の常態から徐々に東に感染者が広がっていく。お盆は関東・関西から各地に人が移動するので、一回収まったように感じるが、昨年も一昨年も再上昇しているので、お盆前後に感染者が増える可能性が高い。

 又、2022年からの3年間の比較でいくと、昨年2023年の夏よりも上昇率が高くて、5類になった2022年と非常によく似ている。今年の感染パターンは、昨年でなく一昨年(延岡市の医療が崩壊し、県立延岡病院の救急外来がストップした)と同じことが起こる可能性がある。そして、宮崎県の中でも延岡がダントツに感染者が多いが、他のところも増えてきていて、宮崎市などの県の中央部でお祭りや花火大会があると、感染の再分配が起こってくる可能性がある。
 もう1つは年齢階層で、現在は40代以下の感染者が7割だが、感染拡大の早期は若い人が多い。後半になると高齢者に代わっていく。つまり、まだ感染のピークを越えていないということ。

 次に、感染するウィルスはどんなウィルスなのか。
KP.3という新しいタイプのウィルスで、非常に感染性が高いものが日本全国で流行っている。世界でもほとんどKP.3に代わっている。インバウンドで人がやってくることによって、さらに感染者が増える。宮崎県では、宮崎市内と高千穂は急激に感染者が増えていくだろう。KP.3は今年の春までに流行っていたJN.1の孫株だが、免疫逃避能が非常に高く、身体の中に入ったときに、我々の免疫ではやっつけることができない。ゆえに、非常に感染性が高い。JN.1と比べたら実行再生産数で1.5倍くらいの感染力がある。感染拡大の早さが1.5倍になる可能性がある。アメリカのCDCの6月の終わりのデータだと、感染者数・入院者数・救急外来数・死亡者数が増えることがすでに起こっている。日本ではまだ入院患者が増えはじめたところだが、患者数がある程度増えると、掛け算で入院患者や重症患者が増えていく可能性があることに注意しなくてはいけない。

 KP.3に感染したときの症状としては、一般的なコロナの症状は一緒だが、症状がない人が約3割いる。軽い風邪か、鼻水だけか、もしくはほとんど症状がない。一見無症状だが、ウィルスは持っているので、感染のスプレッダーになる可能性がある。さらに、消化器症状で胃腸炎と診断されたり、熱中症と診断される患者さんもいる。もしかするとコロナかもと考える必要がある。

(大分市のサーベイランスと東京のお話は割愛)
※感染者数・入院患者数・クラスター数が増えている。延岡でも同じことが起こるだろう。


宮崎県では救急搬送困難ということはそこまで起きていないが、6月頃だと7~8件だったものが、7月に入ると30~40件を超えていて、8月はさらに増えているだろう。搬送先が見つからないということが少しずつ起こっている。今、流行はどの辺りにあるかということ、今回のピークの2/3を超えたところだろう。あと1/3ほど上がるだろうから、1日300~400人の感染者が出る可能性がある。

 もう1つ重要なこととして、今流行っているのはKP.3だが、ヨーロッパやアメリカでは、LB.1やKP.2.3というKP.3よりもさらに感染性が高いものが出てきている。これに代わってくると、2段ロケットタイプのピークを迎えるかもしれない。もっと高いピークがくる、もしくはピークの期間が長くなっていくかもしれない。

 では、どうすれば良いのかということで1つの提案です。
ラゲブリオという抗ウィルス薬です。抗ウィルス薬というと、インフルエンザと同様に症状が軽くなるというくらいの感覚かと思うが、延岡市内のかなりの高齢者施設では、感染が蔓延した際には抗ウィルス薬を使っている。これは非常に効果が大きくて、3日間でほとんど100%ウィルスが消失する。薬を飲まなければ5人に1人はウィルスが残っている。これが意味するところは、抗ウィルス薬を飲むことで感染の拡大を止めることができるということ。3日間で20%が0%になるということは物凄い効果。インフルエンザのタミフルやイナビル等では、3日間で100%消えているわけではなく、80~90%。それに比べると効率・効果が非常に高く、感染拡大も非常に早く収めることができる。実際、延岡市内の医療機関や介護施設で、抗ウィルス薬を使った場合と使ってない場合では、感染拡大が約1/3になり、死亡患者が1/4になる。個人の治療だけでなく、施設内の感染を減らすために非常に有効である。
 次は塩野義製薬のゾコーバ。
最初は症状を軽減するというだけだったが、明らかに入院患者や重症患者の抑制の効果が高い。ハイリスクの患者さんの人工呼吸器使用やICUへの入室、死亡への抑制効果がある。
 最後に、ファイザー製薬が出しているパキロビットは入院抑制の効果が高い。
 こういう風に、一つは、抗ウィルス薬が使える・・・(聞き取れず)が非常に重要になる。今は、基礎疾患があればという形で使っている場合が多いが、呼吸苦(強い)・発熱(高熱)・食事量低下・強い倦怠感・咳嗽(強い)という方重症化しやすいので、抗ウィルス薬を使った方がいい。

 そして、もう1つの関係因子として、ワクチンと感染既往というのが最近の研究で分かってきた。ワクチン2回以下の人、もしくは1年以内に感染していない人は、症状が重くなりやすく重症化しやすい。後遺症も起こりやすい。
 逆に、ワクチンを3回以上、1年以内にオミクロン株に感染した既往のある人は、症状が非常に軽い、もしくは無い。30%くらいは無症状。症状は軽いけどウィルスはかなりいるという人。こちらは重症化の対象ではないが、感染拡大させてしまう方々。マスクをして対処してほしい。又、二極化している中で、自分がどちらかということを知っておくことが重要。

 このように、必要な人には日常的に抗ウィルス薬を使おうというのが専門家のコンセンサス。今までは、61歳以上・活動性の癌・腎臓病・肺疾患・肥満・糖尿病等の方々が重症化リスク因子だったが、前述のリスク因子(呼吸苦(強い)・発熱(高熱)・食事量低下・強い倦怠感・咳嗽(強い))や、1年以内にワクチン接種なしや、1年以内にコロナ感染なし、ワクチン接種2回以下などの免疫背景からのリスク因子のある患者さんは、抗ウィルス薬を考慮してもいいのではないか。

 続いては、後遺症について。
統計によると、感染者の30%~40%の方は何らかの後遺症がある。会社に行けない、学校に行けないという方は、非常にひどい全身倦怠感や意識障害(ブレインフォグ)が続いていて、そういう患者さんがたくさんいる。これらは報道でも知られていることだが、それ以外にも3つ知っていてほしいことがある。
 1つは、コロナに感染した後に、長期的に心不全のリスクが高まるケース。5~10年後に心不全の方が増える。もう1つは、脳にかなり影響を与えるケース。認知症のリスクが約2倍になる。それから、小学生~高校生で問題になっている副腎疲労で、感染者の16%は副腎皮質ホルモンの分泌が低下して、様々な症状を引き起こす。今の症状だけでなく、長期的・未来的なことを考えておかなくてはならない。

 では、いま現場で何が起こっているかというと、病院でなかなか対応できなくなっているとか、月曜日の朝に病院がパニックになること。土日に病院が閉まっているので、月曜日の朝に行列ができる。発熱など以外の一般の外来診療が滞ってしまうということが起こっている。そういった対応困難や人員不足になったり、抗ウィルス薬が不足するということが起こっている。
 さらには、まだ延岡はそこまでないが、入院患者が徐々に増えて、重症者が増えて、ベット不足、救急搬送困難が間違いなく増える。それから、病院のスタッフが感染することによって、病院機能が保持できなくなる。これは、今年の6月に沖縄で実際に起きている。結果的に、コロナ以外の患者さんも診れなくなって、一昨年の県立延岡病院の救急医療破綻と同じように、救急車で脳梗塞とか心筋梗塞の患者さんの受け入れができなくなってしまう。これは医療崩壊ということになる。そうならないためにどうすればいいかを考えなくてはいけない時期にきている。

 医療崩壊の原因は、ウィルス学的要因と環境要因と人的要因の3つだが、ウィルス学的要因でいうと非常に感染性が高いウィルスが出てきて、夏で人流が移動するという人的要因、今年は猛暑という環境要因がある。エアコンを付けて部屋を閉め切って換気をしないという環境にある。非常に医療崩壊が起こりやすい状態。延岡市の医師会として対応を協議している。

 その中で、緊急性がないのに救急車を呼んでしまう人がたくさんいて、それによって医療が混乱している。コロナになって緊急性が高い場合は、呼吸・循環・意識の3つの中で急激な症状が出てきている場合。もう1つは、コロナの患者さんの中でご飯が食べれなくて脱水症状がある場合。これは救急じゃなくても、一般の病棟で点滴・施設で点滴をすればほとんど良くなる。こういったことを踏まえて、医療行為が必要な患者さん、救急車を呼ばないといけない患者さんがどういう範疇にあるかというのを覚えておいていただきたい。

 こういった背景もあって、実は病院では、どういう患者さんをどこに振り分けるかということを決めて・・・(聞き取れず)ということをしている。つまり、どういう症状かによって患者さんの入院施設を決め、移動させ、入院患者のベットの占有を避けている(詳細は割愛)。

 そして、延岡市の皆様にぜひ覚えておいてほしいのは、感染の時期が非常に重要になってくる。熱が出たと言って夜間急病センターに来る患者さんは、「熱冷ましが欲しい」と言ってやって来る。カロナール等の解熱剤を事前に持っていれば、夜間病院に行かなくてよくて、翌日、通常の形で病院に受診すればいい。さらに、喉の痛み止めや咳止め、整腸剤・風邪薬なども常備薬として持っておく薬である。今のうちに揃えておくというのが重要になる。薬が欲しくて病院に行くけど、病院で3時間待ちなどという方が、かえって体調が悪くなる。症状が軽い方々は、飲み薬で済ませていただく方がいい。又、KP.3の特徴として、物凄く喉が痛くなるが、水も飲めないような方はゼリー飲料をストックしておいて、それを飲めばいい。トローチや咳止めなどの医薬品もなくなっていくので、のど飴を用意しておく。こういった準備だけでかなり違ってくる。去年の会議でも同じ話をしたが、会議に参加した皆様が広げてくれたお陰で、夜間外来でそういった薬を求める人が随分減ったようだ。

 最後に、皆さんで情報を共有していただいて、延岡市が今どういう状態になっているかを考えていただくことがとても重要です。マスメディアでもコロナに関する話題が非常に減っていて、情報がない状態になっている。こういった機会を設けていただくのは非常にありがたいし、定期的に情報が届くようになるといい。会議に参加された皆さんがそれぞれの施設などで伝えてほしい。

 お盆の後がどうなるかということが要注意だが、当然、入院患者・重症者・死亡者が増えていく。いろんな後遺症も出てくる。それによって医療崩壊の危機が出てくるが、それを起こさないように事業者や一般市民の皆様がしっかり準備することが中心になる。積極的な感染防御対策、マスク・手洗い・三密回避、解熱剤やゼリー飲料等の準備、各種機関の横のつながりでどうコントロールしていくか相談していく。そして、情報の共有をして繋げていただければと思う。

コロナウィルス自体に善悪はない。罹る我々人間が色々反応することによって、この病気っていうのは起こっている。我々側が対応を考えれば、コロナを打ち負かすことができる。医療崩壊が起こらないようにしましょう。

【実際の講演内容と違う部分があったら、ごめんなさい。】
【写真も横になってしまいます。ごめんなさい。】

新型コロナウィルス対策に関する意見交換会より

新型コロナウィルス対策に関する意見交換会より



Posted by sun at 16:59